このブログでわかること
モティーフ銀座クリニック、美容外科専門医の外崎麻里です。
美容外科を検討し始めると、
「形成外科専門医」「美容外科専門医(JSAPS)」など、「専門医」という言葉を見かけることが増えると思います。
一方で、患者さまからはこんな声もよく聞きます。
- 「専門医がいいって聞くけど、何がどう安心なんですか?」
- 「直美(ちょくび)って言葉も聞くけど、何のことですか?」
- 「結局、私は何を基準に医師を選べばいいんでしょう…」
今日はこのあたりを、できるだけ噛み砕いてお話しします。
「専門医」を探している方が感じている美容医療に対する不安とは?

「専門医がいい気がする」という気持ちの背景には、だいたい次のような不安があります。
美容医療は、一度受けたら元に戻せない可能性があるからこそ、
「もし自分の選択が間違っていたらどうしよう…」という気持ちになりやすいんですね。
① 取り返しがつくかが怖い
美容外科は、良い変化が期待できる一方で、もし思った通りにならなかったときに不安が大きくなりやすい分野です。
だから「うまくいくか」だけでなく、もしものときに、説明して対応してくれるかを気にされる方が多いです。
② 情報が多すぎて、比較が難しい
症例写真・口コミ・SNS・広告…情報が多く、初めての方ほど迷います。
そんなときに「何か分かりやすい目印がほしい」と思って、専門医を探す方が多い印象です。
③ 自分に合う治療かきちんと見極めてほしい
本音では「何でもやってくれる先生」より、必要がなければ施術を止めてくれる先生の方が安心、という方は多いです。
特に目元や輪郭の手術は、ここがとても大切になります。
④ 納得できる説明がほしい
美容医療は、納得して受けるほど満足度が上がりやすい反面、ふわっとしたまま進むと後悔につながりやすい面もあります。
リスクや代替案を、分かる言葉で丁寧に説明してくれるか。ここを重視する方が増えています。
「美容外科医」と「専門医」の違い
まず知っておきたいのが、「美容外科医」と「専門医」は別ものであるということです。
少しだけ制度の話をすると、一般的に「美容外科医」という肩書きは、特別な研修や実績がなくても『美容外科医』と名乗ることに法的な制限はありません。
一方で「専門医」という言葉は、
- 学会などが定めた基準を満たして認定されるもの
- クリニックや団体が独自に使っている“通称”のようなもの
が混ざっていることがあり、言葉の印象だけで判断すると混乱しやすいです。
「専門医を探している」方ほど、何の専門医かを一度確認してみてください。
形成外科専門医・美容外科専門医(JSAPS)とは?
美容外科の分野でよく話題になるのが、この2つです。
形成外科専門医
形成外科は、まぶた・鼻・顔・傷跡など、体表の外科を扱う専門領域です。
美容外科と重なる部分も多く、解剖の理解や縫合、トラブル対応、修正の考え方など、外科の土台に関わりやすい分野です。
美容外科専門医(JSAPS)
形成外科の経験を積んだうえで、美容外科領域としての基準でも審査される資格として紹介されることが多いものです。
(※制度の条件は更新されることがあるため、最新情報は学会の公表内容もあわせて確認すると安心です。)
ここで大切なのは、どちらも「すごい肩書き」というより、一定期間の経験や基準の中で評価され続ける仕組みがあるという点です。
たとえば「形成外科専門医」は、医師になってからまず2年間いろいろな診療科で基礎を学び、そのあと形成外科でさらに約4年間しっかり研修します。
さらに、約120例分の症例をまとめて提出し、試験や口頭試問もクリアして、はじめて認定されます。
そのうえで「美容外科専門医(JSAPS)」は、形成外科専門医になってからも約3年経験を積み、10例分のレポート提出(現在は筆記試験もあるとされています)など、もう一段階の審査を受けます。
そして、資格は取って終わりではなく、取得後も年に3回ほど学会や講習会に参加したり、5年ごとに更新(レポート提出など)が必要です。
こう聞くと、「専門医」という言葉がひとつの目安として見られやすい理由がイメージしやすいと思います。
専門医が“安心材料になりやすい”3つのポイント

ここは誤解が起きやすいので、はっきり書きます。
専門医=絶対に上手い、ではありません。
ただ、専門医が安心材料になりやすいのは、患者さまが本当に不安に思っているポイントと噛み合いやすいからです。
私が思う「専門医が安心につながりやすいポイント」は、主にこの3つです。
① 解剖・構造をふまえて設計しやすい
顔は皮膚だけでなく、脂肪・筋肉・骨・靭帯・血管や神経などが重なっています。
ここを理解しているほど、短期だけでなく将来どう変化するかまで見て設計しやすくなります。
② 無理のない選択を提案してくれる
自由診療は選択肢が広いぶん、提案の幅も広くなります。
だからこそ、必要のない施術を増やさない判断はとても大切です。
もちろん資格だけで決まる話ではありませんが、「医療としての判断」を重視する姿勢と相性は良いと感じます。
③ もしものときに、説明と対応ができる
美容外科はゼロリスクではありません。腫れ、左右差、瘢痕、感染、後戻りなど、一定確率で起こり得ます。
そのときに「何が起きているか」「どう対応するか」を落ち着いて説明できるかは、安心感に直結します。
最近よく聞く「直美(ちょくび) 」とは?
最近、患者さまから
「直美って言葉を聞くけど、何ですか?」
と質問されることが増えました。
一般に「直美」とは、初期研修(2年間)を終えたあと、すぐに美容医療に進む医師を指す言葉として使われます。
まず大前提として、直美=悪い、という話ではありません。
個人差は本当に大きいですし、誠実で努力家の先生もいます。
何が問題と言われるの?
私が考える「直美」の論点は、医師として、技術よりも「倫理性が育つ環境」で育ってきたかどうかです。
ここは、少し慎重に、でも大事なこととして書きます。
保険診療の現場では、
病気の方の話を聞き、治療を考え、毎日状態を見て、退院まで見届ける――
という、「医師としての日常」があります。
その繰り返しの中で、患者さんを「お客さん」ではなく「患者さん」として見る感覚や、リスクへの感覚が少しずつ身についていきます。
直美の先生は、このプロセスを十分に経験する前に、自由診療(ビジネス性の強い医療)の世界に入ります。
自由診療が悪いという意味ではありません。ただ、構造として売上や数字と近い距離にある分、医療の判断がぶれやすい環境に早く触れる可能性があるとも感じています。
その結果として、確率の話として、
- 数字を優先しやすくなる
- 本来は断るべき提案を断れない
- リスクの肌感覚が育つ前に手技だけが先行する
こういったことが起きやすくなる可能性はあると思っています。
もちろん、保険診療が長くても誠実でない医師はいます。
なので「年数だけで決める」話ではありません。
ただ、医師としての土台がどこで作られたかは、私はとても大切なポイントだと考えています。
カウンセリングで失敗しないための7つのポイント
「専門医かどうか」だけでなく、実際のカウンセリングではここを見てみてください。判断がぐっとしやすくなります。
- 選択肢を複数出してくれるか(一択押しではないか)
- メリットと同じくらいデメリットも話すか
- やらない判断をしてくれるか(希望と逆でも言えるか)
- ダウンタイムやリスクが具体的か(曖昧な安心ワードだけで終わらない)
- 術後トラブル時の連絡・対応の流れが明確か
- 質問しやすい空気か(急がせない、遮らない)
- ゴールが言語化できているか(“なんとなく綺麗に”だけではない)
そのまま使える質問リスト
何を聞けばいいか迷う方は、これをそのまま使ってください。
- 「私の場合、やらない方がいい施術はありますか?」
- 「他の選択肢(軽め/手術)だと、何がどう違いますか?」
- 「リスクは具体的に何がありますか?起きた場合はどう対応しますか?」
- 「左右差はどこまでが経過で、どこからが対応対象ですか?」
- 「ダウンタイム中、どんな症状が出たら連絡した方がいいですか?」
- 「もし修正が必要になった場合、どういう方針になりますか?」
落ち着いて、具体的に答えてくれる医師ほど、相談しやすいと思います。
まとめ
専門医を探したくなるのは、とても自然なことです。
その背景にあるのは、多くの場合、
- 失敗が怖い
- 自分で判断するのが難しい
- もしもの時に対応してもらえるか不安
- 納得できる説明がほしい
などの、「安心して任せたい」というまっとうな気持ちです。
専門医は、その不安に対して
「解決する土台がある可能性が高い」という目印になりやすい肩書です。
ただし最後は、資格だけでなく、説明の丁寧さ/断る判断/術後対応まで見て決めるのが、いちばん後悔しにくいと思います。
自由診療だからこそ、「一緒に決める」という考え方も大切です
美容医療は自由診療なので、最終的に「受ける」「受けない」を決めるのは患者さまご自身になります。
だからこそ私は、医師が説明責任を果たすのはもちろん、患者さまにも「納得して選ぶ」ことを大切にしてほしいと思っています。
というのも、自由診療は「おすすめされたから受ける」のではなく、
メリットだけでなく、リスクやダウンタイムも理解した上で選ぶ医療だからです。
カウンセリングは、私たちが一方的に決める場ではありません。
「本当に今必要?」
「他の方法はある?」
「もし思った通りにならなかったら、どうする?」
こういう確認を、一緒にしていく時間です。
不安が残ったまま進めるのではなく、遠慮なく質問してくださいね。
納得して選べることが、結果的にいちばん後悔しにくい選び方になります。
当院では、無理に施術をすすめることはありません。
「今日は相談だけ」「まずは自分に合う治療を知りたい」でも大丈夫です。
不安なこと、分からないことがあれば、遠慮なくご相談くださいね。

